スターピープルより

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DASKALOS / Photo by Haralambos
内省・瞑想・祈り
述:ダスカロス 訳:根本泰行
Researchers of Truth Newsletter からの転載
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ダスカロス(スティリアノス・アテシュリス:1912-1995)

生涯を通して無償で多くの人を救い、無条件の愛を示したヒーラー。多くの人々から尊敬を込めて「ダスカロス」(ギリシャ語で"先生"の意味)と呼ばれ慕われた。彼亡き今もその言葉と存在は、我々探究者の道を照らし導いている。

1994.4.19にストアで行われた講義より
内省・瞑想・祈り

 私たちはさまざまな事物の中へ、そしてその可能性の輪(*1)の中へと入っていくことによって、意思の力を行使して、望む結果を生み出すことができます。

 

 例を挙げてみましょう。キンシャサ(アフリカのザイール民主共和国、現在のコンゴ民主共和国の首都)にいたとき私は、3枚の可愛らしい色の付いた葉を付け、青い素敵な花を咲かせる蔓植物に出会いました。私はこの植物を買って持ち帰り、自宅で栽培しました。植物は成長しました。けれども花を咲かせるためには、とても暑い気候を必要とするのです。

 植物学を勉強している友人のひとりが一冊の本を持ってきてくれました。私たちはこの蔓植物について議論を交わしました。

 私は彼にこう言いました、「見てごらん。この植物の花にはもっと他の色のものもあるんだ」。

 すると彼は言いました、「その通りだよ。だけど、普通この植物の花の色は青か紫だ」。

 私は彼に言いました、「こちらに来て見てごらん」。

 私は彼を家の裏庭に連れて行って尋ねました、「あれはあなたが話題にしていた植物だよね」。

 彼は言いました、「そうだねえ、葉っぱはまさにあんな風なんだけど、でももちろんあれではあり得ないさ」。

 私は尋ねました、「それは確かかい? 私はこれをザイールのキャンシャサから持ってきたんだ。青い花が咲くと思うよ」。

 彼は言いました、「それをどうやって証明できるんだい?」。

 もうクリスマスも間近でした。夜になると家の外は霜が降りるような寒さでした。水は夜の間に凍ってしまっていました。

 私は彼に言いました、「明日また来てくれよ」。

 

 私はこの蔓植物のところに行って、植物を見つめ、愛を捧げて、エレメンタル(*2)を作りながら植物に向かってこう言いました、「私はあなたに、2つか3つの花を咲かせて欲しいんだ」。何事かに対して一体化(*3)することによって、あなたはその事物の---動物界であれ、植物界であれ---主人になることができるのです。

 

 二日後に彼はやって来ました。彼は私が彼にどれほどの驚きを与えようとしているのか、まったく分かっていませんでした。なんとその時、3つの花が見事に咲いていたのです。「ほら、私が言った通りだろう」。

 彼は言いました、「こんなことが実際に起こるなんて、とても考えられない」。

 私は言いました、「いや、可能なんだよ」。

 彼は言いました、「どうやってやったんだ?」。

 私は言いました、「説明するには何時間もかかる。それにそれだけ説明してあげても、きっとあなたには理解できないだろう」。

 

 あなたが自然を楽しむならば、自然はあなたを愛してくれるのです。これこそが何事かに一体化することによって得ることのできるパワーなのです。もちろん、これは大いなるパワーです。でも、それですべてでしょうか? これが私たちの目的なのでしょうか。いいえ、それは違うのです。あなたはもっともっとそれ以上に成長して行く必要があります。そのことをパワーと私は呼びたくありませんが、霊―魂(*4)としての本来の自分を拡大して、神や自然と一体化した世界に入っていき、神をいたるところに認め、神を愛し、そして神の愛を楽しんでいくのです。

 このようにして、何事かと一体化し、あるいはその物事と一つになることによって、あなたはロゴス(*5)のワンネス(*6)の中へと入っていくのです。

 これがどのような状態なのか、言葉で説明することはできません。そこには真実の至福があるのです。その地点に到達した時、あなたは人生の価値について、そして人生とは光とは愛とはいったい何であるのか---実はこれら3つは同じことを指しているのですが---について見出すことになるのです。

 

 これこそが、キリストであるジョシュア・イマニュエル(*7)が、この世界の人々の元にやってきて教えたことです。彼は彼のワンネスについて教えるためにやってきたのであり、「ハートを尽くして、神を愛せよ」と私たちに教えるためにやってきたのです。ハートは彼が私たちに与えてくれたものです。彼は私たちに「魂を尽くして、神を愛せよ」とも言いましたが、これはあなた方の霊―魂のことであり、あなた方の永遠の存在のことです。「こころを尽くして、神を愛せよ」とも言いましたが、これはあなた方の知性のことであり、彼が私たちに与えてくれたマインド物質(*8)のことでもあります。

 

 そしてまた「存在のすべてを尽くして、神を愛せよ」とも言いました。これこそが、ギリシャ語とアラム語で言ったことなのです。そして彼はまた、「自分自身を愛するのと同じように、他の人々も愛しなさい」と言いました。自分自身とは何を指しているのでしょう。それは私たちの魂―自己―存在(*9)のことです。もちろん、魂―自己―存在として、私たちの誰もがロゴスのワンネスの中にいるのです。

ダスカロス

(終わり)

訳注

(*1)「可能性の輪」(Circle of Possibilities)

人なら人の一生は、誕生から成長、老化、そして死に至ることはあらかじめ定められている。また輪廻転生においても、人は必ず人として輪廻することになる。こうした時間とともに確実に推移していく、誰も逃れることのえきない成長過程の連鎖をダスカロスは「可能性の輪」と呼んでいる。一方、たとえば人の一生にしても、成熟する前に、若くして病気や事故で死に至ることもある。このように成長過程全体の中途で止まってしまうことがあるのは、「蓋然性の輪」(Ciecle of Probabilities)の働きによる。 

 

(*2)エレメンタル

人が心に抱く想念、願望、欲望、感情、思考などはすべてエレメンタルと呼ばれる。五感で見ることはできないが、エレメンタルには特有の色や形がある。いったん作り出されたエレメンタルは消えることはなく、いつの日か必ず作られたときに設定された目的を成就する。ここではダスカロスは、蔓植物が花を咲かせることをエレメンタルとして作り上げた。

 

(*3)一体化(Attunement)

他の存在が持っている振動数に、自分自身の振動数を同調させることによって、その存在の性質を調べたり、観察したりできるようになること。ここでは蔓植物の振動数に同調することによって、自分の望み通りに花を咲かせてもらうことができるほどに、ダスカロスは蔓植物と一体化したわけである。

 

(*4)霊―魂

ダスカロスからの用語では、霊(Spirit)とは絶対存在から放たれた一筋の光と考えることができる。霊が大天使のイデアと人間のイデアを通過することによって、魂(Soul)となる。「霊―魂」とは人間存在におけるこれら二つの在り方をまとまた包括的な用語である。

 

(*5)ロゴス

絶対存在、精霊と並んで、三位一体の一要素。絶対存在が自己―超意識として表現されたものである。イエス・キリストはロゴスが完全な形として地上に現れたものであるが、誰であってもその人の本質の中にロゴスは存在している。

 

(*6)ワンネス

すべてが一つに繋がっている状態のこと。

 

(*7)ジョシュア・イマニュエル

当時、アラム語でイエスはこのように呼ばれていた。

 

(*8)マインド物質

この宇宙に存在するありとあらゆるものを構築するための聖なる素材のこと。

 

(*9)魂―自己―存在

絶対存在から分かれた光としての私たちの本質のこと。

(株)ナチュラルスピリットより転載許可済 このページのトップへ